暮らし・相続公開日: 2026/06/10 | 更新日: 2026/06/10

【2026年税制改正】相続税対策と生前贈与

「相続税対策といえば不動産」というかつての常識が、近年の税制改正により大きな転換期を迎えています。地価の高騰により一般的なご家庭でも相続税の対象となるケースが増加する中、最新のルールを把握しないまま対策を進めるのはリスクが伴います。本記事では、2026年以降の最新トレンドを踏まえ、不動産を活用した対策の注意点と、より透明性の高い「現金の生前贈与」の仕組みについて、客観的な視点からわかりやすく解説します。

■ 本記事の目的および免責事項について

本記事は、税制改正の動向や一般的な相続・生前贈与の仕組みについて客観的な情報を提供することを目的としたものです。特定の節税手法を推奨したり、確実な税負担の軽減を保証したりするものではありません。個別の税務に関する判断や申告等にあたっては、必ず国税庁の最新の法令・通達をご確認のうえ、税理士等の専門家にご相談されることを強くお勧めいたします。

都市部を中心とした地価の高騰により、一般的な住宅(実家)を所有しているだけでも「うっかり基礎控除額をオーバーしてしまう」ご家庭が急増しています。しかし、焦って行動を起こす前に、まずは現在のルールの変化を知ることが大切です。

近年の税制改正によって、「不動産を使った駆け込み対策」への規制が厳しくなっている背景と、現在の主流となりつつある安全なアプローチについて整理してみましょう。

🚨 不動産を活用した相続税対策に関する規制強化の背景

これまで、一部で活用されてきたのが「借金をしてアパートを建て、不動産の評価額を引き下げる」という手法でした。しかし、この手法については現在、ルールの厳格化が進められています。

タワーマンション等を利用した行き過ぎた評価減への規制に続き、最新の税制改正では「貸付用不動産の評価方法の見直し」が大きな焦点となっています。特に「相続開始前5年以内」に取得した賃貸用不動産に対しては、これまでのような大幅な評価減を認めない方向でルールが整備されています。

【知っておきたい不動産対策のリスクと注意点】

  • 相続開始前5年以内の賃貸不動産は、評価引き下げの特例が制限される見通し
  • 人口減少に伴う空室リスクや修繕費の負担により、キャッシュフローが赤字になるリスク
  • 「実家のみ」を相続するご家庭が、不必要な負債(ローン)を抱えることによる負担増

つまり、「とりあえずアパートを建てておけば安心」という認識は過去のものとなりつつあります。不確実な負債を抱えることは、残されたご家族にとって将来的なリスク要因となる可能性もあるため、より慎重な判断が求められる時代になりました。

🛡️ 現金の「生前贈与」を活用した透明性の高いアプローチ

不動産を活用した複雑な仕組みが見直される中、改めて注目を集めているのが、一番シンプルで透明性の高い「現金の生前贈与」です。

生前に少しずつ、正式な手続きを経てご家族の口座へ資産を移しておくことで、将来の遺産総額そのものを計画的に減らす仕組みです。国が定めた制度に則って行うため、税制改正の急な荒波に左右されにくく、着実に進めやすいという特徴があります。

① 注意したい「暦年贈与」の持ち戻し期間の延長

生前贈与を進める上で必ず直面するのが、「暦年贈与(年110万円の基礎控除枠)」と、制度が拡充された「相続時精算課税制度」のどちらを選択するか、という問題です。

ここ数年の重要な法改正として、暦年贈与で渡した資金が、万が一の際に相続財産として「足し戻される(加算される)期間」が、従来の3年から段階的に7年へと延長されました。これにより、相続直前の数年間に行う駆け込み的な贈与は、税負担の軽減効果が大きく制限されることになりました。

② 「相続時精算課税」の拡充と、各ご家庭での最適な選択

一方の「相続時精算課税制度」は、2,500万円という特別控除枠に加え、新たに「毎年110万円の基礎控除(申告不要)」が創設されたため、ご家庭の状況によっては暦年贈与よりも高い効果を発揮するケースが出てきました。
「ご家族の人数」や「想定される贈与の期間」によって、どちらの制度が適しているかは全く異なります。この選択によって将来の負担額に大きな差が生じる可能性があるため、事前の正確なシミュレーションや専門家への相談が不可欠です。

🤔 生前贈与と最新税制に関するよくある疑問(Q&A)

Q. 子供や孫の口座に、毎年110万円を振り込むだけで対策になりますか?

A. 前述の通り、亡くなる前「7年以内」の贈与分は相続財産に加算されるため、直前の対策としては効果が薄くなります。また、通帳や印鑑を親が管理したままだと「名義預金(実質的には親の財産)」とみなされ、税務調査で一斉に課税されるリスクもあるため、贈与契約書の作成や口座の適切な管理が必要です。

Q. 税制が複雑で、我が家にとってどちらの制度が適切か判断できません。

A. 法律の条文だけで判断するのは非常に困難です。まずは「家族の人数」と「将来渡したい概算の金額」を整理することが第一歩です。その上で、簡易的なシミュレーションツールで全体像を把握し、最終的には税理士などの専門家に相談しながら計画を立てるアプローチが最も確実で安全です。

制度の選択による「将来の負担額の違い」を把握するには?

例えば、現金の生前贈与を計画する際、「暦年贈与」を選ぶか「相続時精算課税」を選ぶかによって、最終的に国に納めるべき税金の額が数百万円単位で変わるケースも存在します。

💡 事前のシミュレーションが重要な理由:

  • ・制度変更に伴うリスクの回避:「良かれと思ってやっていたことが実は非課税になっていなかった」という将来のトラブルを防ぐ
  • ・家族間の円滑なコミュニケーション:客観的な「数字」をベースにすることで、親族間での透明性の高い話し合いが可能になる
  • ・専門家へ相談する前の整理:税理士へ相談に行く前に、あらかじめご家庭の状況と概算を把握しておくことで、スムーズで的確なアドバイスを受けやすくなる

複雑な税制をご自身で一から計算するのは非常に困難です。当サイトでは、贈与したい概算金額と想定する年数を入力するだけで、最新のルールに基づいた「制度ごとの比較目安」を客観的に可視化できるシミュレーターをご用意しています。ご家族で将来の資産管理について話し合うための、最初のステップとしてご活用ください。